ファンクベーシスト・リックジェームスとは?【FUNK】ミュージシャンの生き方スーパフリーク事件が音楽界に与えた影響

リック・ジェームス

1980年代のファンクシーンを支えたベーシスト(ベース演奏者のこと)であるリックジェームスについて解説します。もちろん彼の音楽はとても魅力的なのですが、実は数々の奇行でも知られています。現在のバンドマンが彼の生き方を真似するわけにはいきませんが、把握しておくと彼の音楽をさらに楽しめることでしょう。

目次

リックジェームスとは?

リックジェームスはアメリカのファンクベーシスト。1948年~2004年。

卓越したベースのセンスで1980年代のファンク音楽を席巻しました。

非常に有名なベーシストであり、彼の音楽はバンドマンをはじめとする多くの人々に愛されています。しかし、その音楽と同じくらいリックジェームスの奇行も知られているようです。

意外と下積みが長かったリックジェームス

Mynah Birds

Mynah Birds (feat.Rick James & Neil Young) – It’s My Time b/w Go On and Cry: “Tadd”pole galaxy

リックジェームスは15歳で海兵隊に入りますが、たった3日でカナダへと逃げ出します。

そのカナダで、ニールヤングなどともに「マイナーバーズ」というバンドの活動を始めます。

しかし、20代のうちは目に見える成果を出すことができませんでした。

実はリックジェームスが若いうちから、アメリカのモータウン(レーベル名)は彼と契約していたがっていたようです。ですが、海兵隊から逃げ出したせいで米国当局から追われていたため、なかなか契約できなかったのだとか。

ですが、30歳(1978年)になってはじめてのヒット曲、「ユーアンドアイ」がそのモータウンから生まれます。

さらに、1981年に有名曲「スーパフリーク」が収録されたアルバム「ストリートソングス」をリリースすると、彼はファンクベーシストとして一躍有名になります。

(しかし、このスーパフリークがある事件を巻き起こします。詳細は後述)

また、リックジェームスのベースマンとしての才能は、プロデュース方面でも発揮され、

メリージェンガールズ、ティーナマリーなどのアーティストを育成しました。

さらに、「パーティーオールザタイム」というヒット曲をあのエディーマーフィーに提供しています。

リックジェームスの奇行

リック・ジェームス

リック・ジェームスを題材にしたテレビ伝記シリーズが製作中

バンドプロデュース・ファンクベーシストなどと活動していた彼ですが、

異常なまでのドラッグ依存者でもありました。しかも、それはリックジェームスのファンを含めて広く知られていました。

なんと、ドラッグに月々300万円近いお金を費やしていたのだとか。

1980年代にはなぜかマリファナをラジオDJに配りましたし、1996年と1998年にはある事件で訴えられています。

しかし、それでもリックジェームスの音楽は素晴らしく、2000年代には再び評価されるようになりました。

ですが、2004年。心不全にて56歳で死去。

その体内からは、9種類のドラッグが発見されたようです。

死去する4カ月前に出演したバラエティー番組では、自分自身のドラッグ乱用を茶化し、ドラッグを使うときの真似事までしていたのだとか。

リックジェームスの音楽について

もちろんドラッグ乱用や、警察のお世話になったこと自体は褒められるべきではありません。ですが、その経験がファンクベーシストである彼のベースや音楽に活きていたことは確かです。

では、先ほど少し触れていた「スーパフリーク事件」のお話を。

実はリックジェームスは、スーパフリークという楽曲を「安っぽい」と感じていたそうで自信がなかったのだとか。

そして、そんなスーパフリークがMCハマーの「ユーキャントタッチディス」で無許可でサンプリングされました。

これに激怒したリックジェームスは、著作権侵害で訴えを起こし高額の賠償金を得ました。

これによって、リックジェームスの機嫌は一気に直ったのだと言われています。

(賠償金の主な使い道は恐らく……

ちなみに、現在でもリックジェームスのスーパフリークはダンスフロアなどで大人気となっています。

しかし、MCハマーのユーキャントタッチディスのほうはあまり評価されていないようです。

スーパフリーク事件が音楽界に与えた影響

スーパフリーク事件は、「勝手に誰かの音楽をサンプリングすることは許されないのだ」という意識が多くのバンドマン・ミュージシャンに生まれました。

この出来事によって、当時の音楽界の在り方も変化したとされています。

いかにもチャランポランな人物であるリックジェームスの行動が、音楽界に対してこのような「真面目な影響」を与えたというのは少し面白いですね。

みなさんのバンドも、他人の曲を無許可でサンプリングするのはやめましょう。

天国でファンクベーシストを続けている(かもしれない)リックジェームスに怒られます。

ちなみに、「そういうリックジェームスの『グロウ』のベースラインが、マイケルジャクソンの『スリラー』のそれに似ているじゃないか!」という指摘があるかもしれません。

しかし、実はその「スリラー」は、スリラーの2年前に発売された、リックジェームスの「ギブイットトゥーミーベイベー」に似ています……

まとめ

リック・ジェームス

リック・ジェームス-ウィキペディア

有名ファンクベーシスト・リックジェームスに関するお話でした。本記事においては、「マイルドな奇行」しか取り上げませんでした。ここでは出せないような彼のアレコレについて更に知りたい方はご自身で調べてみてはいかがでしょうか。でも、それよりはまず彼の音楽に触れましょう。特にバンドのベース担当者は必聴です。

リック・ジェームス