ペダルを足で踏んで操作することで、音の周波数帯を調整するエフェクターのことを「ワウ・ペダル(もしくはワウ)」と言います。安い中古品であれば1万円を切るので、バンドサウンドの幅を広げるために一度試してみてはいかがでしょうか。今回のお題は「バンド向けのおすすめワウ・ペダル9選」です。
目次
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バンド向けおすすめワウ・ペダル9選を紹介します
人気おすすめワウ・ペダル紹介1:Jim Dunlop / GCB95F Cry Baby Classic
1967年に登場したCry Babyは、クラシック系ワウ・ペダルの代表格としてマーケットで存在感を示しています。
最初は「Top Logo」というエリックジョンソンやジミヘンドリックスも使っていたものから始まり、70年代からは色々なバリエーションが出始めました。例えば「ファズ・ワウ」など。
現在はメーカーがジム・ダンロップに変わりましたが、最近になってもシグネチャーモデル、多機能タイプ(色々なコントローラーが搭載されている)、バンドのベース用ワウ・ペダルなど、色々と製造されています。いつも最先端のワウ・ペダルを開発しているブランドであると言えるでしょう。
このCry Babyはメーカーがリイシューを行った「Faselインダクター」の特徴を活用し、更にヴィンテージな雰囲気を思わせる音にするために、新たな基盤にしたモデルです(バイパスのタイプも、トゥルー・バイパスになっています)。
実際、GCB95よりも、「ヴィンテージっぽい響き」になっていて、音も明快になっていると思います。スイープも深いです。太いローミットも魅力であり、クランチ設定のアンプと一緒に使うことで、往年のロックバンドが奏でるようなリード・サウンドに迫ることが可能です。
シンプルでカッコいいロックサウンドを演出したいバンドにおすすめのワウ・ペダルです。
人気おすすめワウ・ペダル紹介2:Jim Dunlop / JP95 John Petrucci Signature Cry Baby Wah
「ヴィンテージ・ワウのサウンドは、人間の声のようだ」などと言われていますが、このJP95はそういった音とは大幅に違う、現代的なワウ・サウンドを満喫させてくれます。
シグネチャーモデル特有の個性的な音作りが成されていて、ワイドレンジと深いスイープで、速やかなワウ効果を生み出してくれます。
「かかとから、つま先方向」へとペダルをゆっくりと踏んでいき、だんだんとピーク周波数を動かしていくと、かなりの低音域から超高音域まで音がキレイに変わっていきます。
これは、クラシックロックバンドなどが好む「ワウワウ効果」とは違う響き方であり、かかりの重いフィルター・エフェクトをコントロールしているようなイメージかと思います。
むしろ、エンベロープ・フィルターに響きが似ているような気がします。
普通のワウ・ペダルでは実現できないようなこのユニークなサウンドは、フィルター・エフェクトのようなものを望んでいるバンドにはピッタリだと感じます。
また、このワウ・ペダルには筐体の中にコントローラーがあるため、利用者側がサウンドを作り込みやすくなっています。音量やQの設定は当然として、6バンドのイコライザーもあるので、ワウ回路を自由自在に操るような感覚で望んだ音を目指すことができます。
人気おすすめワウ・ペダル紹介3:Xotic Effects / Wah XW-1
このワウ・ペダルはかなり高性能であり、操作感や踏み心地に優れています。「基本のサウンド」もハイクオリティであり、色々なコントローラーが搭載された多機能タイプですが、それでいてすぐに使いこなすことができるはずです。
ボディサイドには、4種類のコントローラー(BASS、TREBLE、WAH-Q、BIAS)があります。このコントローラー群をセンター位置に置けば、「Clyde McCoy」を連想させるサウンドを作ることが可能です。
これだけでもハイクオリティなサウンドですが、コントローラーを使うことによって、よりバンドのイメージに合う響きに変えていくことができます。
また、内部のスイッチ群を使うことで、もっとサウンドにこだわることができます。
小型コントローラーとDIPスイッチを使うことによって、色々と細かくコントロールすることが叶います。具体的に言うと「ワウが及ぶ周波数の範囲」「インプット・ゲインの上下」「トレブル成分の分量」等の設定を行うことが可能であり、楽に望むサウンドへと近づけることができます。ワウ・ペダルのなかでもかなり便利な部類であると言えるでしょう。
また、筐体のフォルムも素晴らしいです。伝統的なワウ・ペダルに近い踏み心地を維持しつつ、ペダルボードにマッチする大きさになっているというのもメリットです。
このサイズであれば、エフェクターがたくさん載ったペダルボードにも気持ちよく収納することが可能なはずです。
人気おすすめワウ・ペダル紹介4:electro-harmonix / Wailer Wah
エレクトロハーモニクスは個性的なワウ・ペダルを多く作ってきたメーカーです。しかし、今回紹介するワウ・ペダルは比較的オーソドックスなものです。ですが、ところどころにこのメーカーならではの特徴が入り込んでいます。
まず、ワウ・ペダルの大きさとしては通常くらいですが、重さがおよそ0.75キロとなっています。これは、平均的なワウ・ペダルの重さの半分にも満たないです。
「ワウ・ペダルの重量はこのくらい」ということで疑問を持たなかったバンドマンも少なくないと思いますが、当然軽いほうが何かと便利ですよね。
また、ペダルのところの動きがかなり滑らかであり、普通のワウ・ペダルに慣れているとそのスムーズさにビックリすると思います。ハイスピードでの可変もできるので、通常のワウ・ペダルでは実現しにくい技巧的な効果を生み出すこともできます。一例として、ディレイの後ろに置いてハイスピードで動かすなどの手法があります。
「基本の音」は通常のワウ・ペダルの範囲に入っていると思いますが、回路にインダクターが入っていませんから、ヴィンテージタイプのワウ・ペダルによくあるギャップ感が少ないです。
それもあってか高音域は鋭くも聴きやすく、中音域はシンプルで、低音域にはまとまりがあるという仕上がりになっています。その特性がかなり気持ちのいいものであり、パラメトリックEQを触っているときの感覚に近いと思います。
慣れれば慣れるほど深みにはまっていく、バンドサウンドをサポートしてくれるワウ・ペダルだと思います。
人気おすすめワウ・ペダル紹介5:Ibanez / WH10V2 Wah Pedal
このワウ・ペダルのオリジナルモデルは、ジョンフルシアンテが使っていたことで値段が大きく跳ね上がっていました。ですが、ジョンが使う前からコアなファンがたくさんいたワウ・ペダルでもありました。
ワウ・ペダルとしては軽量であるという特徴もありますが、それよりもやはり音が魅力的です。パラメトリックEQをコントロールしているようなスムーズなサウンド変化を活用し、可変レンジブースターに近い使い方をすることが叶います。この掛かり方は非常に気持ちよく、一回使うだけでのめり込むバンドマンが少なくありません。
また、機能性に関してもよく練られています。「DEPTHコントローラー」は、やや浅いフワ効果から、ピークをミッドととするヴィンテージ的なフワサウンドとなっています。さらには、やや歪んだ音の演出まで可能なのでバンドのカラーに合わせて使うという事がしやすくなっていると言えます。
ベース/ギターのチェンジスイッチがありますが、ベースだけに留まらず、ダウンチューニングが成されているギターでも使うことが可能です。「ドライアウト」も搭載されているので実用性が高いです。
また、パラレルアウトですが、バッファを通じてシグナルが出力されますから、チューナーを接続するだけでなくスプリッターとして用いることもできます。ドライアウトは歪んだアンプと接続する、ノーマルアウトに関しては澄んだ音のアンプに接続するなど、斬新な音作りの発想をもたらしてくれます。
人気おすすめワウ・ペダル紹介6:BOSS / PW-3 Wah Pedal
ボスエフェクターはいい意味でメーカー側の主張が薄く、バンドマンの個性にマッチする柔軟性を有しています。そのため、色々なサウンドに対応してくれます。ここで紹介しているワウ・ペダルもその例外ではありません。
スイープが滑らかですし、サウンドもかなり音楽的で、ヴィンテージ的な音は当然として、これまでのワウ・ペダルでは実現しにくかった斬新な響きにもこだわることができます。
多くの人が持っている「ワウ・ペダルとはこういうもの」という常識を破るべく、いまだに進歩を続けているという印象です。
今まであまりなかった「ローエンドをしっかりキープした響き」になる「リッチモード」、オーセンティックなワウを大事にしたいなら「ヴィンテージモード」という使い分けができます。どちらもバンドマンの個性を出しやすいチューニングであり、歌に寄り添う滑らかな効果を発生させることもできますし、ヘビーな音を出すこともできます。幅広い使い方ができると言えます。
フルアナログ回路ですが、ノイズが非常に低いのも魅力です。また、ペダルボードの中に設置しやすい小さなワウ・ペダルであることもメリットの一つです。
ペダルの動作もかなり滑らかであり、同じメーカーのエクスプレッション/ボリュームペダルと一緒で、ラクラク踏み心地のコントロールをすることが可能です。また、オン・オフがすぐにわかるように、ペダルの両側にLEDインジケーターが搭載されているという利点もあります。
ユーザビリティに関してもサウンドに関しても素晴らしく、ボスブランドを愛する人のお眼鏡に叶う逸品になっていると言えるでしょう。
人気おすすめワウ・ペダル紹介7:Area51 / Vintage Italian Wah with Buffer
エリア51の作るワウ・ペダルにはヴィンテージ的なものが多く、その高品質さが常に高く評価されています。
ここで紹介するワウ・ペダルもヴィンテージ的なものであり、バッファがレプリカ回路に搭載されていて、現代的な利便性の高さとなっています。
普通は、「入力インピーダンスの低いファズを、ヴィンテージ的なワウ・ペダルの後段に繋げる」と、二つともをオンにしたときにどちらかの効果の出方がおかしくなってしまうものです。
そうならないためには、インピーダンスを安定させる働きを有するユニットで、ファズとワウ・ペダルを繋がなければなりません。ですが、このワウ・ペダルに関しては、オンにした場合に、ワウ・サーキットの後段にあるバッファを、シグナルが通るシステムになっていますから、二つともをオンにしても正常に使うことができます。
つまり、ワウ・ペダルがオンになっているケースではシグナルはローインピーダンスになり、オフになっているのであればトゥルーバイパスシグナルになるという事です。
また、トリマーが内蔵バッファに仕込まれていますから、ファズとワウ・ペダルをそれぞれオンにしてから少しずつ調節することで、ベストマッチを見つけることが可能です。
このワウ・ペダルの音に関しては、ヴィンテージ的な音が基本となっており、そこにローエンドとハイエンドにゆとりがあるチューニングが組み合わさります。
バンドサウンドを細かくワウワウさせることももちろん可能ですが、幅のあるレンジを活用してゆったり感のあるスイープを演出することも叶います。
人気おすすめワウ・ペダル紹介8:LAA custom / The Italian Wah
見た目にも特徴があるワウ・ペダルです。1960年代にあらわれたイタリア系のヴィンテージ的なワウ・ペダルがモチーフなっています。「Haloタイプ」のインダクターがカスタムメイドされていることが一番のポイントかもしれません。
このインダクター特有の「食いつき」や「ギャップ」、それから滑らかなスイープ感が出るようにしているのだと思います。
ですが、ヴィンテージをそのまま真似しているわけではありません。具体的に言うと「サウンドに関係してくれる大事なところ」のみを参考にしているという印象です。一例として、ジム・ダンロップの「ホットポッツ2」をポットに使う等、オリジナルの発想でヴィンテージ的な音を再現しようとしていることが分かります。
音についてですが、つやがあって、低音域が豊かで、響きが豪華なのが特徴です(これは現物でサウンドを聴いてみないことにはイメージしにくいかもしれません)。ヴィンテージでは再現できないサウンドであり、殊に澄んだ音を出すときに個性が際立ちます。
内部トリマーによって低音域をコントロールすることができ、爽快感のあるヴィンテージ的な音を出すことも当然できますが、ハイゲインで目立ってくる強いフィルター作用を出すこともできます。
また、中にあるDIPスイッチを使って8種類のサウンドをスイッチできるバリエーションがあります。そのいずれのサウンドにも、ヴィンテージ的なワウ・ペダルの要素が詰まっています。
人気おすすめワウ・ペダル紹介9:VOX / V847 Wah Pedal
V847は、60年代後半から始まった伝統的なVOXのモデルです。
VOXのボリュームペダルの筐体を転用したプロトタイプである「グレイ・ワウ」は、ジミーペイジが「Dazed AndConfused」等で使っていました。また、その後リリースされた「Clyde McCoy」は、ジミヘンドリックスやエリッククラプトンが使っていたことで知名度が上がりました。
ここで紹介しているV847は、それらのモデルに属する「V846」を基礎として作られ、平成5年にリリースされました。何回か仕様に微調整が入り、今のV847の入力部にはバッファがあり、アダプター給電もできるようになりました。
このおかげでオン・オフの際のノイズが少なくなり、エフェクターとのインピーダンスマッチングの懸念も解消されました。
また、今のモデルはワウ・ペダルの要であるインダクターも新しいものになっています。90年代の段階よりも、もっと60年代のワウの音に近づきました。リードトーンにマッチするミッドレンジ豊かな響きとなり、ロックバンドのギターの音としてふさわしい、噛んでくるようなサウンドを出すことができます。
効きやすいですから、ペダルをスローで可変させるとトーン・フィルターに近い作用を発生させることもできます。
まとめ
「バンドマン向けおすすめワウ・ペダル9選」と題して解説しました。ワウ・ペダルを使うことでギターの演奏がしやすくなり「表現したいことがより表現できるようになる」と感じます。しかし、ハマり過ぎてワウ・ペダルにお金を使い過ぎる人も少なくないのだとか。それだけ魅力のある機器ですが、予算には気を付けましょう!