「小説ならなんとなく想像つくけれども、音楽CDを買った場合はお金はどう配分されるのだろう」などと疑問に思ったことはないでしょうか。ここでは、「お金の配分比率」「音楽の著作権は誰が持つ?」「メジャーバンドとインディーズバンドだと何かが変わるの?」といったことに関して解説していきます。
目次
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CDを購入した場合の著作権関連のお金の比率は?
よく、「本の作者印税は10パーセント」などと言われていますが、CDについてはどうなのでしょうか。
ここでは、1枚1000円のシングルCDを買ったものとして考えてみましょう。
ちなみに、これはメジャーバンドの場合の話です。
インディーズバンドについては自由度が高いので、色々な比率例があると考えてください。
1:流通(450円)
「CD販売店」と「問屋」のことを流通と言います。
このうちCD販売店に200~250円、残りが問屋に入ることになります。
「え、そんなに取っていくの?」と感じるかもしれませんが、それだけで流通は重要なのですね。
2:原盤印税(120~160円)
「CDの原盤を作成した人」に入る印税のことを「原盤印税」と呼びます。
比率としてはアーティストに10円ほど、「原盤を作成した人」に120~150円ほどとなります。
ちなみに、ここでいう「原盤を作成した人」とは、「原盤を作成するためにお金を出した人」という意味です。原盤制作企業やレーベルがこれに該当します。
また、プロデューサーにも印税が入る契約になっているのであれば、この原盤印税で賄われるケースが多いです。
3:著作権使用料(60円)
JASRACに入ってくるお金のことを「著作権使用料」と呼びます。
もちろんJASRACがそのまま懐に入れてしまうのではなく、JASRACが作曲者・作詞者・音楽出版社(曲のプロモーションをした企業)などに分配します。
ちなみに、著作権そのものは音楽を作った瞬間に発生します。
たまに「JASRACに登録しないと著作権が発生しない」と思っている人がいますが、それは勘違いです。
一応JASRACに楽曲登録しなくても、著作権使用料を回収することはできます。
しかし、それではかなりの労力がかかりますし確実性も下がるので、多くのアーティストがJASRACのお世話になっています。
この辺りの事情はインディーズバンドであっても変わりません。
ただ、JASRACに比べると知名度は下がりますが、NexToneという企業もあります。
今インディーズバンドを組んでいる人、これからインディーズバンドを作る予定の人はNexToneの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
※著作権は基本的に「作詞者・作曲者」に与えられる権利です。そのため、特にアイドルグループなどの場合は「歌っているのは自分達だけれど、著作権は持っていない」という形になる可能性が高いです。
4:レーベルの取り分(残り全て)
残りの全額が音楽レーベルの取り分となります。
比率としては、35パーセント前後といったところですね。
基本的にはこの取り分の中から、管理費、宣伝費、広告費、製造費などを支払うことになります。
そして、残ったお金が「利益」になるわけですね。
そのため、レーベルにとっては
「あまり宣伝していないバンドなのにすごく売れた!」となればビジネス的には大成功なわけです。
逆に「かなり宣伝して、音楽番組にもねじ込んだに全然売れなかった!」などとなれば損失が出る場合さえあります。
まあ、もちろんCDだけでなくグッズなどもありますから、単純に「CDの売上だけで、レーベルを存続させる」というわけではありませんけどね。
ちなみに、本記事では「レーベルは原盤製作者ではない」という前提で解説しています。
もしレーベルが製作しているのであれば、比率が変わってきます。
インディーズバンドのほうがアーティストの取り分は多くなりやすい
「確実に発生するアーティストの取り分」はかなり少ないという事がお分かりいただけたのではないでしょうか。
アーティスト自身が作詞・作曲をしているのであれば「著作権使用料」も入ってきますが、別の人に任せたのであれば、その人に著作権使用料が入ることになります。
ちょっと生々しい言い方になりますが、
「色々な人を稼がせる必要がある」ので、アーティストの取り分はこのくらいになるのですね。
ですが、そのぶん宣伝などのサポートを手厚く行ってくれるのが、メジャーレーベルのメリットです。
一方、インディーズバンドの場合は
「そこまで多くの人を稼がせる必要がない」ので、アーティストの取り分が多くなる傾向にあります。メジャーレーベルと比べると、それこそ「桁が違う」というケースもあり得ます。
ですから、インディーズで売れっ子になれれば、収入はかなりのものとなるでしょう。
(また、インディーズバンドの場合は自分達で著作権を持つことも多くなると思います)
しかし、あくまでインディーズですから、メジャー並の宣伝やサポートは期待できません。
「ある程度売れているバンドを宣伝する」という事になりやすいため、やはり売れるのは「狭き門」だと言えます。
ザックリまとめると、
メジャー:アーティストの取り分は少なくなるが、売れやすい
インディーズ:アーティストの取り分は多くなるが、そもそも売れにくい
ということですね。
まあ、「メジャーバンドになることの難しさ」なども考慮すべきだとは思いますが……。
まとめ
「音楽CDを購入したお金」がどのように配分されるのか解説しました。作詞・作曲者に著作権が与えられるという事を覚えておきましょう。また、レーベル分、流通分などもありますから、アーティストの取り分は案外少なくなります。しかし、インディーズバンドであればアーティストの取り分はもっと多くなる傾向にあります。