辞書的な意味で考えれば「アーティスト」という言葉と「ミュージシャン」という言葉には大きな違いがありそうですが、実際のところはどうなのでしょうか。明確な定義はあるのでしょうか。「国内外における両者の使い分け」についても併せて解説していきますが、そもそも本当に「使い分け」はされているのでしょうか。
目次
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アーティストとミュージシャンの違いは?
アーティスト:芸術家、職人、音楽家などなど
ミュージシャン:音楽家
アーティストと聞くと「現代美術」を想像する人もいるかもしれませんが、広い意味で言えば「刀鍛冶」などもアーティストに分類できそうです。
一方、ミュージシャンと言えば「音楽に携わる人」のみですよね。
「ミュージック」から来る言葉なわけですし、当然と言えば当然です。
そして、「ミュージシャンはアーティストの一部」と言えそうです。
「サッカー選手はアスリートの一部」というのと同じノリですね。
また、
「このバンドはミュージシャンだけれど、アーティストではない」という分類はできなさそうです(お前の音楽には芸術性がないな!などの皮肉は別として……)。
ミュージシャンの定義について深く考えると?
「音楽に携わる人」とは言いましたが、
- 日本の伝統的な音楽に関わる人(琴、民謡、三味線、演歌などなど)
- クラシック関係の人
などはミュージシャンとは言わない場合が多いです。
特に「日本の伝統音楽」と「横文字」は全然マッチしない感じがしますしね。
やはり、「バンド」がミュージシャンの代表格でしょうか。
もちろん、ミュージシャンに分類されるから偉い、分類されないからカッコいい……などのことを言いたいわけではないのでご了承ください。
アーティストの定義について深く考えると?
やっぱり「芸術全般における専門家」というのがアーティストの定義だと思います。
正直、これ以上説明すべきことはないような気がします。
(『芸術の定義』というまた別の難しい問題が生じそうですが……)
ただ、「あるバンドに頼まれて、演奏をサポートするメンバー」は「自分で発信しているとは言いにくい」せいか、アーティストとは呼ばず、ミュージシャンと言う場合が多いですね。
どうしても別の言い方をするのであれば、むしろ「職人」などが近いような気がします。
日本ではアーティストとミュージシャンはどう使い分けられている?
日本国内ではアーティストとミュージシャンという言葉がどう使い分けられているのか。
これに関しては、
「きちんと使い分けられているわけではない」というのが答えだと思います。
(もちろん『音楽に関係のない芸術家』をミュージシャンと言うことはさすがにありませんけどね)
一昔前までは、日本ではバンドなどの事を基本的に「ミュージシャン」と呼んでいたそうです。しかし、主にメディアが主導になって、ミュージシャンのこともアーティストと言うことが多くなったそうです。
ミュージシャン:音楽に関わる人
アーティスト:芸術を生み出している人
と考えると、なんとなくアーティストのほうがカッコいいので、そのまま定着したような気がしますね。
ただ、なまじカッコいいせいで、バンド自身が自分達を「アーティストです!」とは言いにくいという側面はあると思います。
外国だとアーティストとミュージシャンはどう使い分けられている?
外国の場合は、「言葉の意味どおり」という感じです。
音楽バンドのことを「アーティスト」と呼ぶことはあまりありません。
「アーティストはアーティストだけど、ミュージシャンのほうが明確だしミュージシャンと言おう」というノリ。
ただし、「会話の流れの中で『それが音楽家を指していると分からない』なんてことはほぼない」ので、実際には音楽バンドもアーティストと言われることが少なくないようです。
日本よりはちゃんと使い分けているけれど、そこまで厳密じゃないという感じでしょうか。
グダグダになってきたのでまとめます
記事が中だるみしてきたので再度まとめますが、
アーティスト:芸術家、ただし普通に音楽家を指すことも多い
ミュージシャン:音楽関係の人のみ
両者との違いと言うと、これに尽きます。
正直なところ明確な定義なんてないので、なんとなく使っていきましょう。
そもそも日本人は、「外国語を微妙に本来とは別の意味で置き換えて使う」ことが多いので、考えれば考えるほどドツボにはまるかもしれません。
アーティストやミュージシャン以外の呼び名もある
また、アーティストやミュージシャン以外の呼び方をすることもありますよね。
歌手:歌う人(バンドのことをザックリ歌手と言う場合も)
シンガーソングライター:基本的に作詞作曲も全部自分でこなす歌手
歌い手:ユーチューブやニコニコ動画に歌の動画を投稿しているアマチュア歌手
といった感じでしょうか。
でも、本来の言葉の意味を考えれば「歌手」も「歌い手」も一緒ですよね。
しかし、例えばメジャーな歌手やバンドを「歌い手」と言うことはあまりないはずです(ちょっと不自然に聞こえますよね)。
もちろん、これらに関しても明確な定義があるわけではありません。
まとめ
アーティストとミュージシャンの違いを説明しました。両者は完全に別物というわけではありません。「ミュージシャンはアーティストの一部」と考えるのが最も自然ですね。ただし、国内外ともにアーティストとミュージシャンという言葉を明確に使い分けているわけではありません。まあ、深く考えないほうが良さそうです。