インディーズでCDを作るときに気になるのが「インディーズでも著作権は発生するの?」「発生するとしてインディーズだと権利になんらかの制限が入るの?」ということだと思います。これらについて解説しますので、バンド活動などをしている方はぜひご覧ください。もちろん他人の権利を守るためにも必要なことです。
目次
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インディーズCDに著作権はあるの?
インディーズバンドのCDにももちろん著作権があるので、他人が勝手に販売したり配信したりすることはできません。
そして、ひとくくりに「権利」と呼ばれることもありますが、厳密に言うと以下のように分けられています。
・著作権
そのインディーズバンドのCDの曲を作曲・作詞した人が有する権利のことです。
作曲と作詞をした人が別なのであれば、その二人ともが著作権を持つことになります。
・著作隣接権
「そのインディーズCDの曲を演奏した人が有する権利」でもありますし、
「CDの音源を作成した人が有する権利」でもあります。
インディーズCDの著作権に関わるよくある質問
Q1:インディーズバンドのCDの製作を行いましたが、私自身は全く作詞・作曲に関わっていません。本当に「CDを作っただけ」です。それでも私に何らかの権利が発生するのでしょうか?
A1:あなたの立場は「レコード製作者」です。確かに「CDに収録されている音楽そのものの製作」には関わっていませんが、「そのインディーズ音楽を世に広める重大な作業」をしたわけですよね。ですから、著作権ではありませんが「著作隣接権」というものが与えられます。
Q2:インディーズバンドのCDを作りました。原盤(マスターテープ)も私がお金を出して作りました。このインディーズCDに関する著作隣接権を獲得したいのですが、どうすればいいのでしょうか?
A2:何もしなくても著作隣接権は発生するのでご安心ください。ただし50年間でこの権利は切れます。
Q3-1:私が作詞・作曲をしてインディーズCDを作ったので、私が著作権を持つことになりますよね。そのCDを買ってくるのは嬉しいですが、学生さんとかってよくCDを貸し借りしてダビングしてしまいますよね。これって何らかの権利を侵してはいないのでしょうか。
A3-1:まず、著作権者の承諾を得なくても「CDを買った人自身とその家族」が聞くためのダビングであれば行ってもいいことになっています。
しかし、「それ以外の人」が聞くためのダビングをするには、本来著作権者の許可が必要です。ですが、その「許可」を取るのは難しいでしょうから、「私的録音保証金」を著作権者に払うことで、許可の代わりとしています。
Q3-2:でも、その「私的録音保証金」って私はもらった覚えがありません。私も立派な著作権者だと思うのですが、インディーズバンドのCDだからということで軽んじられているのでしょうか……。
Q3-2:そういうことではないんです。「CDや音楽機器の代金に、私的録音保証金の分を上乗せする」という方法で支払われています。また、あなたには「私的録音保証金保証金請求権」が与えられます。
Q3-3:では、その「私的録音保証金請求権」によって請求をするにはどうすればいいのでしょうか。
A3-3:「IRMA」などの代行企業に請求作業を委任してみるのがおすすめです。ただし、手数料として「私的録音保証金の1割」をIRMAに支払うことになります。
Q4:私は著作権者ではありませんが「著作隣接権」は持っています。ジャスラックから「私的録音保証金」をもらうことはできないのでしょうか。
A4:ジャスラックは「著作権」を扱うだけですから、「著作隣接権者」に対して私的録音保証金を支払うことはしません。「私的録音保証金の中の、CD製作者」がもらうぶんは、日本レコード協会が配当してくれます。
その他の著作権関連用語
海賊版CD
「著作権者をはじめとする権利者の承諾を得ずに、第三者が売ってしまうコピーCD」のことを海賊版と呼びます。インディーズCDに対しても海賊版が出回ってしまうこともあります。
ちなみに、単なる遊び心で「海賊版自体や、それを連想する名前の正規CD・DVDなど」を販売するアーティストもいるので気をつけましょう。
例:チリヌルヲワカの「オフィシャル海賊版」、中村一義の「海賊版」など
原盤
「インディーズバンドのCDなどをコピーする場合の大元」となるディスクやテープなどのことです。この原盤から一般流通するCDが作成されることになります。
公衆
著作権法に関わってくる用語です。
「不特定の人(人数を問わない)」と「特定多数」のことを意味しています。
例えば、「著作権者の許可なしに、公衆(ここでは特定多数という意味)に対してCDを貸してもいいのだろうか?」などの文脈で使う用語です。
ただし、「どこからが多数か」の定義はありません。
どの話題で「特定多数」という言葉を使うかによって変わります。
「そもそも相対的な概念であって、具体的な人数を指しているわけではない」と考えると分かりやすいはずです。
公衆送信権
著作権者が作ったCD(インディーズCDも含む)を、第三者が勝手に送信・アップロード・放送することなどを止める権利のことです。
裏を返せば、(定義上は)著作権者であれば自由に「公衆に対して送信できる」ということになります。
まとめ
インディーズバンド(CD)における著作権についてでした。
「作詞・作曲した人」が著作権者であり、「CDというモノを作った人」が著作隣接権者です。このことを含め、インディーズであろうがそうでなかろうが音楽に関する権利についての差はほぼありません。ただし、「権利によって発生するお金」の請求方法は違います。