脱アマチュア!プロの作曲家はこうやって音楽を聴いている

プロの作曲家とアマチュアの作曲家の作る作品は沢山例外はありますが一般的にはクオリティに何か見えない壁が存在します。
プロを目指すアマチュアのコンポーザーはその見えない壁をなかなか越えられなくて苦労している方も多いのではないでしょうか?
そのブレイクスルーのきっかけの一つが音楽の聴き方の違いです。私自身アマチュア時代と今とでは音楽の聴き方が全然違います。
今回の記事ではそんな経験をお話しします。

目次

1. クレジット欄をちゃんと見る

プロの作曲家はそれぞれどんな人がどんな仕事を経てその音源が完成しているかを知っています。

メロディを作る作曲家
アレンジを作る編曲家
詩を作る作詞家
お金を出してまとめ上げるプロデューサー
音楽を配給するレーベル会社
インスト部分を演奏するミュージシャン
そのミュージシャンの演奏を録るレコーディングスタジオ
その音を正確に録音するレコーディングエンジニア
録った音をより音楽的に混ぜて仕上げるマスタリングエンジニア

…などなど。
プロの作曲家はそれぞれがどんな仕事をしているか知っているので例えば
「このドラムのフレーズ俺じゃ思いつかねえ…すげえな誰が叩いてんだ?」
とか
「この弦の質感すげーいいな…誰がどこのスタジオで録ったんだ?」
とか
「すっごいお金かかってる音するな…このCDどのレーベルだっけ?プロデューサー誰?」
などと、音をより細かく観察すればその仕事を誰がやった気になる筈です。
そういった聴き方ができるようになればプロの音楽の聴き方に一歩近づくかもしれません。

2. アレンジと作曲と詩を分けて聴ける

メロディがあんまり良くなくても詩が素晴らしいからなんとかなっている場合
メロディと詩がすごくいいのにアレンジがダメで活かせていない場合
など、アレンジ、作曲、作詞は三位一体でどれか一つが欠けていてもダメですが、どれか一つが素晴らしくいいと他の部分をカバーできている場合もあります。
こうしたそれぞれのセクションのパワーバランスを感じられるようになったらプロに一歩近づいたと言えるでしょう。
特にアレンジャーの良い仕事を作曲家の功績だと勘違いしてしまうのはアマチュアがよくやってしまいがちなミス。というよりアレンジャーとは影の立役者なのでそう感じさせられたらそれはいい仕事なのですがプロ志向の人までそれに飲まれてしまってはダメですね。

3. ミュージシャンの癖を細部まで聴き込む

ドラムやギターのゴーストノート、ピアノの微妙な合いの手、ヴォーカルの呼吸などプロのミュージシャン達は本当にすごい人ばかりが生き残っているので誰にも気付かれないような細部までこだわった音作りをしています。
しかし特にバンド出身のコンポーザーは自分の担当楽器以外の癖をよくわからないまま作っています。

ギター出身のコンポーザーの方、ドラムはいつも適当な8ビートで打ち込んでませんか?
ベース出身のコンポーザーの方、ギターのカッティングは場面や曲によって使い分けていますか?
ドラム出身のコンポーザーの方、ギターやベースのアンプの音作りはこだわっていますか?
歌が歌であると自然に聞こえるのは本来はとても凄いことです。
それがなぜ自然に聞こえているのか、細部にまで着目してそのミュージシャンの癖まで感じ取れるようになれば打ち込みでそれを再現するときにもクオリティの変化がわかる筈です。

4. 音楽以外の要素と音楽の関連性を考えて聴く

アニメタイアップ、映画タイアップ、挿入歌……
などポピュラー音楽は音楽単体として聞かれるケースは少なく何かのための音楽として作られるケースが殆どです。
勿論色んな権力闘争があってタイアップ先の作品とは全く関係ない音楽が作られるケースも少なくないので一概にそうとは言えませんが、それ以上にタイアップ先の作品のファンに愛されようと頑張って作っているアーティストやコンポーザーもいます。
或いは歌ってくれるアーティストのファンの人が喜んでくれるように、そのアーティストのファン達が熱狂するライブステージを想像しメロディやアレンジを作っているコンポーザーもいます。

例えばアニメのオープニングとして採用された曲のメロディが主人公の心情を歌っているようなケース。アニメのファンからしたら胸が高まりますよね。
逆にアニメとの関連がないような曲がオープニングでかかったら例えカッコいい曲でもファンはがっかりする筈です。
プロになればそういう仕事が求められます。
ただかっこいい音楽ではなくその音楽が関わる作品のファンがかっこいいと思ってくれる音楽に自分のかっこよさをある種”チューニングするようにびっちり合わせに行く必要”があるのです。

つまり「このメロディかっこいい!」ではなく「ああこれはアニメのこのキャラクターの力強さや執念深さを表してるからAメロのここが少しひねったメロディになってるんだな」などと音楽以外の要素と”音楽の要素”を関連づけて考えられるようになればプロデビューしてからの強力な武器になります。

おわりに:

いかがでしたでしょうか?音楽の聴き方が深くなればなるほど一度の視聴で得られるものが多くなります。そうしてたくさんの引き出しを自分の中に作って行くことが作る曲の奥深さを変えるのです。
そうやって少しずつ良い曲を作れるようになるのがプロへの近道になりますよ!