ここではヘビメタの「音楽」よりも「ファッションの歴史」に重点を置いて解説します。
比較的知名度の高いスラッシュメタル・ヘアメタル(LAメタル)・コスチュームメタルの紹介。さらには、ヘビメタの歴史の中でもやや異質な存在である「ブラックメタル」や「ニューメタル」に関してもお伝えしていきます。
目次
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「スラッシュメタル」は古風なヘビメタファッション
1980年代初期のヘビメタファンの多くは、メガデス、スレイヤー、アンスラックス、メタリカ等のファッションを真似していました。そもそも、この頃は「ヘビメタバンド自体」と「そのファン」のファッションが揃っていた時代でした。
スラッシュメタルは動きやすいため、激しい演奏をするのにうってつけでした。
ストレートの長髪、肩まで伸びるパーマヘア、バスケシューズ、スタッドベルト、スキニージーンズ、バンドネームが入ったワッペン等を貼り付けた古風な雰囲気のノースリーブやデニム等が、当時のヘビメタについていくための必須ファッションでした。
このファッションが非常にステキだったせいか、近年も模倣しているヘビメタバンドが少なくありません。歴史は繰り返す……?
歴史に埋もれた?ヘアメタルファッション
1970年代の性別を感じさせないグラムロックファッションにインスパイアされたガンズアンドローゼス等が代表格である、1980年代を中心に活躍していたヘアメタルバンドのファッションは、歴史的に見ても普通のヘビメタファッションとはかなり違います。
「『ヘアメタル』なんて言葉は聞いたことがない」という人もいるかもしれませんが、日本国内では「LAメタル」という呼び方のほうがポピュラーでした。
LA出身のバンドの比率が高いため「LAメタル」という名前のほうが有名になったそうです。
ヘアメタルバンドマン達は、髪の毛をブワッと逆立たせ(この髪型がヘアメタルという呼び名の由来だとされています)、革のグローブ、バンダナ、レザーチャップス、パンデックスパンツ、超派手なプリント、極端にゴテゴテな靴などで、異常な存在感を放っていました。
しかし、このヘアメタルという言葉。
当時は、「馬鹿にする表現」でもあったようです。
「ファッションばかりで、テクニックや音楽は大したことないね」というニュアンスで使われる場合もあったという歴史も。
ですが、ファッション面を含めて彼らの音楽を楽しむ人が多かった事も確かです。
また、1980~2000年辺りまで、音楽シーンで非常に大きい存在感を放っていた「MTV」でウケるように、音楽それ自体だけに留まらず、衝撃的なPVを作成する必要もあったとされています。
今の日本でも派手な、もしくは凝ったミュージックビデオを作るとそれだけで話題になるケースがありますが、当時のヘビメタ界隈でも似たような現象が起こっていたのかもしれませんね。
しかし、ニルヴァーナが1991年に誕生した辺りから、ヘアメタルは徐々に姿を消すこととなりました。
そして、「ヘアメタルは歴史から消えた」という声もあるのですが、現在でも「ヘアメタルファッション」を取り入れているヘビメタバンドが存在しないわけではありません。
1985年辺りからはコスチュームメタルファッションが幅を利かせる
歴史的に見ても、ヘビメタ界隈には「まあどんなファッションであっても面白くて、イカしていればいい!」という価値観が根付いています。
その最たるものはコスチュームメタルでしょう。
ヘアメタルバンドとして一世を風靡したAlice CooperやKISSには、実はコスチュームメタル的側面もありました。
不可思議なファッションで舞台に上がり、言わば「別人状態」で演奏するアーティストの先駆者でもあったのです。
そして1985年くらいに、男性のアレのような大きなモニュメントから妙な液体を噴射させて、宇宙人のような姿で演奏し始めた「GWAR」というバンドが登場した頃から、「コスチュームメタル全体のステージ」が数段階アップしました。
1990年以降は「スリップノット」が殺人鬼のようなファッションで演奏し、2000年以降には「ゴースト」が悪魔崇拝者のようなファッションで音楽を奏でました。
まあ、あくまで筆者の考えなのですが、ヘビメタに限らず誰しもコスプレが大好きなんじゃないかと思います(コスプレと言ったらヘビメタ好きに怒られるのでしょうか……)。
日本でも、デーモン小暮閣下率いる、悪魔の姿をしたメンバーが演奏する「聖飢魔Ⅱ」が人気でした。
あとは「身体は人間、頭部はオオカミ」の「マンウィズアミッション」も有名ですね。
ヘビメタの歴史の闇!?ニューメタルとは?
ラップ、ファンク、ポップ、スピードメタル、スラッシュメタルなどを雑多に取り入れている
「筋の通っていないヘビメタ」。
ニューメタルはそのように表現されることがあります。
ヘビメタの歴史の中でも賛否両論な存在ですが、
少なくとも彼らのファッションは、現在ほぼ生き残っていません。
なんと言いますか、「ダサい大学生」のようなファッションですので……。
ヘビメタの歴史から良い意味で浮いている!?ブラックメタル
「保守的な文化と、聞き飽きたデスメタルバンドへの強烈な皮肉」として、ブラックメタルが誕生したとされています。
コープスペイント、ハンマー、ペンタグラム、逆十字、恐ろしいスパイク、文字が刻印されたガントレット等のファッションで身を固め、「怒り」をモチーフにした演奏を繰り広げていました。
あまりにインパクトが強いため「ヘビメタの歴史から浮いている」とも言えるかもしれませんが、彼らのファッションは今も根強く生き残っています。
まとめ
ヘビメタファッションの歴史について解説しました。
「ヘアメタルファッション/スラッシュメタルファッション→ぶっ飛んだコスチュームファッション」という流れを組んでからは、ヘビメタのファッションには更に多様性が生まれたような気がします。基本的にどんなファッションでもカッコよければ受け入れられますので。