「MIXが苦手で……」
「打ち込みは出来るんですけどMIXができなくて……」
「プラグイン全然持ってないからMIXできなくて……」
MIXは有料プラグインやマスタリング専用プラグイン、高級な機材や高級なスピーカーを使って魔法のようなことをする工程だと勘違いしていませんか?
MIXというのは写真でいうとレタッチのようなものです。
写真だって被写体そのものやカメラの技術、構図が大事なのであってそれが決まっていればレタッチなんてしなくてもいい作品はいいし、レタッチは元の写真の良さを生かすためにするものですよね。
MIXもそれと全く同じだと思います。
目次
目次
1 MIXなんてしなくてもいいアレンジはそのまま聞ける
まず初めに正しい価値観を共有したいのですがMIXとは
・写真で言えばレタッチ
・料理で言えば器
・ダンスで言えば衣装
と例えることができると思います。
写真も元が素晴らしければレタッチでは何もする必要がなく、料理も器が美しくなければ見栄えは悪いですが味が美味しいことに代わりはありませんし、ダンサーが一流ならどんな衣装でも美しく見えると思います。
MIXは最終的な仕上げの話であってそこに特別な魔法があるわけではありません。
私の知り合いのプロのエンジニアさんでソフトはPro tools内臓のもの以外は一切使わないでMIXする人もいます。
私も基本的にですがEQとコンプはDAW内蔵のものしか使わないし、気に入っているちょっと特殊で有料のプラグインを使うこともありますが、それは特別な効果を狙っている場合やそのサウンドが好きだから再現するために使うだけで基本的なサウンドはフェーダーバランスとパン、あとは内蔵のEQとコンプを噛ませるだけで作ります。
大事なことなのでもう一度言いますがMIXは魔法の工程やそこでサウンドのかっこよさが決まるところではなく、単なるバランス取りの作業です。劇的にそこで何か変わるということはありません。
多分プラグイン会社が「このプラグインを買えばすごいことができる!」みたいな謳い文句で売ってしまっているため「自分の曲のサウンドがしょぼいのはプロが使う機材がないからだ」と思い込んでしまう人が多いのかもしれません。
プラグインなんてDAW内臓だけで十分です。EQなんてあればなんでもOKです。単に音を整える作業なのですから。
2 素材の良し悪しを見直す
では何故自分の曲がしょぼく聞こえるのか。
その正体は大抵が素材が悪いからです。
例えばドラム。ドラムの音作りの勉強は一生続くと思っています。私もまだ理想のドラムの音を作れたと思ったことはないです。
自分の好きな曲、理想の曲のドラム、そうですね最初はキックの音だけを1曲通して聞いて見てください。
そして続いては自分の曲のキックの音をじっくりその音と比較して聞いて見てください。
かっこよさが全然違うと思います。その音を目指して音を作るのです。
そうすれば使っているドラム音源がそもそも自分の理想とは違ったとか、ベロシティレイヤーの選び方が悪かったとか、マイキングを設定できるドラム音源ならそれが悪かったとか、EQの持ち上げる場所がズレてたとか、そういう事に気付けるようになってくるはずです。
いや観察して比較しても何が悪いかなんてわかるわけがないと思った方。
安心してください。それが正常です。天才じゃないと最初から違うことは分かってもどこを直せばいいのかなんて分かりません。
分からないから試行錯誤するのです。いろんなドラム音源を買ってみたり、上手い人を見つけてSNSで質問してみたり、キックの音作りの動画を見たり、レッスンに通おうとか考えてみたり。
そういう地道な努力を繰り返し繰り返して少しずつ自分の理想の音に近づけていこうと努力する、これが作曲の勉強の真髄であり面白いところです。
こういう地味な作業を何度もなんども繰り返して素材を一つ一つ整えていくと、フェーダーでバランスをとるだけでいい音楽になって来ます。
よく分からずに使っている高いプラグインとか、よく分からずに適当にプリセット選んで挿してみた何かとか、そういう試行錯誤は全くもって無駄です。
とにかく理想としている曲の素材の音を聞き、それに近づける努力。これがいちばんの近道です。
おわりに:
いかがでしたでしょうか?
私は教えることもしているのでより実感するのですが、いつになってもできない人というのは楽して凄くなろうとします。
楽して凄くなれる事なんて世の中にはありません。必ずどこかに辛いことがあります。
このプラグインを買えばAIが勝手にいい感じにしてくれるとか、断言しますがそんなことは現状絶対にあり得ません。AIだって使う人がその利点を分かっていなければ毒にしかならないか問題は解決しないかのどちらかです。
販売会社やDTM教室やブログなどの謳い文句に踊らされず、正しい手順で正しい努力を少しずつ積み重ねていきましょう!