音楽映画『ONCE ダブリンの街角で』ギターを弾き語る男性と女性との出会いから始まる

2007年に製作された『ONCE ダブリンの街角で』はギターを弾き語る男性と、通りがかった女性との出会いから始まる音楽映画。音楽を通じて意気投合した男女が素晴らしい曲を作るストーリーと、歌や曲に引き込まれる作品です。ドラマチックな展開と納得の結末まであらすじや感想を紹介します。

1.あらすじ

ダブリンの街角で弾き語りをしている一人の男性。ギター弾きの彼は昼はお客にウケの良い歌を披露し、夜はオリジナルソングを歌っていました。そんな彼の曲に興味を持った女性は10セントをギターケースに入れ、オリジナルソングは去った恋人のことを表していることを聞くのです。ギター弾きの彼は修理店を営む父と暮らしていることを話すと、女性は家の掃除機を直して欲しいと言って次の日に持ってきました。ギター弾きの彼は戸惑いながらも、ひとまず2人で昼食をとると彼女は父親が楽器を弾いていたこともありピアノを弾けると知ります。今は楽器店でピアノを1日1時間だけ弾いていると知ったギター弾きの彼は聞かせて欲しいと言って店へ。ピアノ弾きの彼女の演奏に聞き惚れつつ、彼は自身のオリジナルソングと合わせてピアノを弾いてもらうのでした。
その後、彼の家に寄って掃除機を直し、部屋に招いた際に昔の歌のテープを聞かせます。それをCDに焼いて欲しいと言われた彼は、寂しさを覚えたこともあって彼女に泊まっていかないかと言うのです。ピアノ弾きの彼女は断って部屋を出るのでした。

翌日、ギター弾きの彼は街で彼女を見つけて昨日のことを謝り、ステキだと感じたことを話しましてCDを貸します。すると今度は彼女の家に招かれて、旦那がチェコにいることや娘がいることに驚きました。彼女はCDの曲の一つが気に入り、ギター弾きの彼に歌詞をつけて良いと言われたことで夜もずっと歌いながら歌詞を考えるのです。
ギター弾きの彼は曲を聞いていた際に元恋人のことを思い出し、ロンドンに行くことを決意。その前にピアノ弾きの彼女と何曲か歌を作りたいと提案しました。2人は一流の機材が揃っているレコーディングスタジオを2000ユーロで借りるため、融資のお願いをしに行きます。その際にはギター弾きの彼の録音テープを音質が悪いながらも聞いてもらい、担当の人が自身のギターも披露した上で承認。ストリートバンドに声をかけ、彼らはシン・リジーの歌しかやらないというバンドを誘うのに成功し収録の週末を迎えます。

本格的なレコーディングをするため、録音はプロを雇いますがアマチュアの集まりにやる気はない様子…しかし、ギター弾きの彼らの演奏が始まってすぐに引き込まれます。朝の4時まで収録と休憩を繰り返した後、ピアノ弾きの彼女は別室にあったいいピアノを見つけて自分の曲を弾き、ギター弾きの彼は聞き入りました。
そうして収録を終えた月曜日にはカーステレオで改めて聞いてテストも終了。収録した皆は出来の良さに喜び、ギター弾きの彼が持ち帰った際に父も絶賛するほどでした。父はヒット間違いなしと太鼓判を押し、亡き母も喜ぶだろうと言ってロンドン行きを見送るのです。出発間際になってピアノ弾きの彼女の家を訪ねますが留守だったためそのまま楽器店へ。そこでピアノを購入して彼女に送り、そのまま飛行機に乗りました。

※登場人物は名前が無いというタイプの映画なので主人公の男性を「ギター弾きの彼」、女性を「ピアノの彼女」

2.感想・見どころ

・ギター弾きの彼とピアノ弾きの彼女

序盤でアコースティックギターを弾き語る男性の歌詞や歌い方が印象的。相手のことを考えているという歌を力強くアコースティックギターを弾きながら、歌にも力を込めていました。そんな彼がピアノ弾きの彼女出会い、楽器店で彼女の美しいピアノに感動するというシーンにつながっていくのが良いですね。2人がオリジナルソングを合わせて演奏するのはロマンスのような雰囲気を感じさせました。ギターに思いを乗せる彼とハモリを歌う彼女のシーンは出会って2回目とは思えないほどの意気投合、音楽の相性の良さを伺わせます。
そうして恋仲に発展するのかと思いきや、ギター弾きの彼は元恋人への思いを残していたり、ピアノ弾きの彼女は別居中の旦那とキッパリ別れていなかったり…彼女は性格が合わない旦那とは言えども、娘のことを考えると必要だと思っていると明かす際には「そうだよな…」と感じさせました。だからこそ、ラストで2人が恋仲にならずに終わるのに切なさも感じるのです。
最初はギター弾きの彼に対して、元カノのことを聞いてくるピアノ弾きの彼女は気があるのではと思っていました。しかし、部屋に呼んで口説いた時に去ったことを考えるとその気は無かったのですかね。育った国の違いによる人との距離感の違いなのか、そうした微妙な二人の関係は最後まで気になるポイントでした。

・他の歌い方も印象的!

ギター弾きの彼が元恋人が他の男と共に、自分の元を去ったと陽気に歌いながら説明するのも面白かったですね。相手の目を見ながら、そして笑いながら歌うのですが、悔しさも伝わってくる…と思いきや、激しくアコースティックギターをかき鳴らして「くたばっちまえ!」と怒ったように歌うのが良いですね。
ピアノ弾きの彼女の印象的なシーンは、始めて曲に歌詞を付けるため歌いながら夜道を歩く姿が良かったです。街中の雰囲気と合って少しの寂しさを感じさせるからです。そうして中盤以降からは、プロモーションビデオのような映像表現が増えて、楽しそうにコミュニケーションをとってメンバーが演奏するのが見どころ。特にレコーディングの際の聞かせるように始まる序盤から、段々と力強く演奏していくのは聞き惚れますね。乗り気じゃなかった雇われの録音担当も一気に引き込まれて感動したというほどでした。

3.まとめ

ダブリンの街でギターを弾く一人の男と、ピアノを弾く一人の女性の物語は音楽の良さと切なさも感じる良い映画でしたね。ラストの男女の仲に切なさを、それまでのストーリーで意気投合して素晴らしい音を奏でる姿には感動も覚えました。1曲1曲のクオリティが高く、思いを込めた歌詞と歌い方が心に残るのが『ONCE ダブリンの街角で』です。